仕事を語る

Episode03

富士南まちづくりセンター

富士南エリアの地域の皆様にとって憩いと交流の場となるまちづくりセンターの建設。過去、現在そして未来に向けた地域の皆様の思いが詰まった施設が完成しました。

富士南まちづくりセンター

[プロジェクト名]
平成29年度富士市富士南まちづくりセンター改築主体工事

国道一号と東海道新幹線という大動脈の間にありながら、ゆったりとした時間が流れる住宅街。富士川緑地と「道の駅 富士」に程近い富士南エリアで、新たなまちづくりセンターを建設するプロジェクトが動き出した。
小学校、中学校も目と鼻の先。子どもたちの元気な声が響き、新しい住宅と田畑が共存するこのエリアで、およそ1年に渡る工事が行われた。

このプロジェクトに携わった人たち

  • 非公開: 遠藤 成功(建築部)
  • 柳田直人(建築部)

Mission

公共工事の週休二日制実現に向けて、プロジェクトを指揮する。

建設業界の働き方改革に向けてスタートした公共工事の週休二日制。この工事がスタートした時点では、まだ改革は始まったばかり。様々な会社や職人さんたちとともにつくる工事現場において関わるすべての人たちの理解をはかり、週休2日制の導入を実現したうえで確かな品質を維持することが求められました。

地域の愛情を大切にし、思い入れのある施設をつくる。

地元小学校の校章にもなっている「ききょう」の花。地域の皆様にも愛される美しい紫色の花の存在を施設に取り入れることも、大切な使命のひとつでした。また、建設現場周辺は小中学生の通学路。子どもたちにも配慮した安全性の徹底と誠意ある対応が求められました。

着工前の現場事務所。周囲は学校や田畑のある穏やかな住宅街です。

完成した施設の向こうには、田畑や新幹線が走る姿が見えました。

図書コーナーとなる場所。施設の中には地域に必要な様々な機能が集まります。

1階には調理室も。子供たちからお年寄りの方まで、様々人たちが利用する施設です。

Process&Technology

鉄筋を組み上げた時点で、「おさまりがいい」を実感。

今回の工事は、組み上げた型枠に鉄筋を配置してそこにコンクリートを打ち込んで造るRC工法。図面通りに鉄骨が組まれていく工程には、なんとも言えない充実感や気持ちよさがあります。図面上の設計と現場で組まれた鉄骨との誤差がほとんどない時、建設業界では「おさまりがいい」という言葉で表現しますが、まさに「おさまりがいい」工事でした。おさまりがいいことでコンクリートも想定通りの厚さを確保することができ、しっかりとした基礎が完成しました。

「おさまりがいいね」と職人さんたちと話した鉄筋工事。この日の現場からは富士山もきれいに見えました。

ドローンを使えば、鉄筋工事、型枠工事、コンクリート工事など基礎の様子も一目瞭然。

毎週の定例打合せと毎日の職長会で進捗状況を常に把握する。

内装工事や電気工事など、様々な工程に影響するのが建物を築き上げる主体工事。毎週の定例打合せや、職人チームのリーダーを集めて毎日行う職長会でも、中心的役割を担わなくてはなりません。特に今回は、週休2日制によって行われる工事。常に状況を把握して次に必要となる資材を確保したり、同時に行うことができる作業を増やして効率的に仕事を進行するなど、工程管理にもこれまで以上の高い意識を持って取り組みました。全体像がわかるようにドローンを活用して撮影を行い記録に残すなど、新しい試みも積極的に行いました。

安全な工事を行う責任を果たすため、打ち合わせや安全管理の確認も定期的に実施します。

状況の把握や記録のためにドローンを使った撮影も積極的に行いました。

施設の象徴となる桔梗(ききょう)の花のモザイクタイルを製作。

この地域で愛されてきた桔梗(ききょう)の花を感じることができるように、その象徴となるのが施設の正面から見える壁画。地元の子どもたちが描いた桔梗の花のある風景を原画として、モザイクタイルによって製作されました。このモザイクタイルが製作されたのは、陶芸でも有名な愛知県多治見市。ひとつひとつはめ込んでいくたいへんな製作工程を見届け、責任を持って設置工事を行いました。

愛知県多治見市で行われたモザイクタイルの製作。原画の雰囲気を大切に、1枚1枚丁寧に並べられていきます。

エントランスにはめ込まれたモザイクタイルの壁画。美しい桔梗(ききょう)の花と富士山のある風景は、この施設の象徴です。

富士ひのきや桔梗の色を使った資材を使い、未来に残す。

施設の内装には、富士山麓で育ったブランド材「富士ひのき」が使用されています。木目が細かく強度や耐久性に優れている木材ですが、不燃処理をすることによって表面に白い結晶が浮き出る白華(はっか)と呼ばれる現象が起きやすいのです。白華は時間の経過とともに現れます。そこで、未来にも美しい富士ひのきを残すために、表面に特殊な加工を施すことを選択しました。また、内装にも外装にも、桔梗の花を想像させる紫色の資材を使用しました。こうした試みもあって、1年点検の際にも白華が見られないことを確認することができ、安心して使っていただいていることを実感できました。

地元のブランド材「富士ひのき」が使われた大会議室。未来のことを思って施した特殊な表面加工が効いている。

廊下や階段、扉には、桔梗(ききょう)の色。実は建物の外観も白ではなく、薄い桔梗の色で塗装されています。

周辺の安全確保も熱中症対策も、責任を持って行う。

8時に朝礼が始まり、17時には片付けも終えて完全終了。工事が行われるこの時間には、小中学校の通学時間帯も重なります。7時30分から8時30分までの間は大型車両・トラックの通行を禁止したり警備員を配置するなど、安全面にも十分な配慮を行いました。
また、遠藤建設は工事全体の進行を把握し、現場を管理する立場。真夏には、現場で働く人たちの熱中症対策も忘れません。大型扇風機を配置したり、温度や湿度を感知する熱中症アラームを導入したり、スタッフの安全・健康管理にも心掛けました。

安全対策を指示するだけでなく、実際に行われているのかも定期的にチェックします。

事前に対策し、予防するために熱中症アラームを活用。安全な工事のために健康管理にも気を配ります。